資料と解説

4-16 新憲法の公布日をめぐる議論

1946(昭和21)年10月29日の閣議で、日本国憲法の公布日をいつにするかが検討され、まず施行日を翌年5月3日に設定し、その日から逆算して11月3日を公布日とすることに決定した。11月3日は明治天皇の誕生日(明治節)にあたるため、GHQ側の反応について閣内には一抹の不安もあったが、この決定に対してGHQから特に異議は出されなかった。しかし、閣議での決定前に、GHQ民政局の内部には、公布日として相応しくない旨を日本国政府に非公式に助言すべきであるとの意見もあった。また、対日理事会の中華民国代表も、10月25日、アチソン対日理事会議長に書簡を送り、明治時代に日本が近隣諸国に対して2回の戦争を行ったことを挙げ、民主的な日本の基礎となる新憲法の公布を祝うため、より相応しい日を選ぶよう日本政府を説得すべきであると主張した。しかし、アチソンは、10月31日の返信で、11月3日が公布日とされたことに特に意味はなく、日本政府の決定に介入することは望ましくないと書き送った。当時法制局長官であった入江俊郎は後にこの間の経緯について記している。

資料名 Memorandum for the Chief, Government Section, Subject: Necessity for informal SCAP approval of the day selected for promulgation of the Constitution and of the Promulgation Edict
年月日 14 October 1946
資料番号 ハッシー文書 Hussey Papers "31-A Promulgation of the New Constitution" <YE-5, Roll No. 5>
所蔵 国立国会図書館
原所蔵 ミシガン大学アジア図書館
注記 マイクロフィルム
資料名 Letter from Chu Shih-ming to George Atcheson, Jr., dated 25 October 1946; Letter from George Atcheson Jr. to Lieutenant General Chu Shih-ming, dated 31 October 1946.
年月日 25, 31 October 1946
資料番号 GHQ/SCAP 民政局文書 GHQ/SCAP Records Government Section; Box No. 2088 "Publicity" <Sheet No. GS(B)00640-00644>
所蔵 国立国会図書館
原所蔵 米国国立公文書館 (RG331)
注記 マイクロフィシュ
資料名 [日本国憲法成立の経緯原稿5]
年月日 [昭和29年6月21日]
資料番号 入江俊郎文書 66
所蔵 国立国会図書館
原所蔵  
注記  
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