資料と解説・第5章 憲法の施行
5-13 大逆罪・不敬罪の廃止
新憲法の成立に伴う刑法改正に際して、不敬罪、大逆罪の廃止をめぐる、日本政府とGHQの一連のやりとりを示した資料である。1946(昭和21)年12月20日、ホイットニー民政局長は、木村篤太郎司法大臣に対し、不敬罪、大逆罪に関する規定を定めた刑法第73条から第76条までの条項を削除するよう指示を与えた。これを受けて、吉田茂首相は、12月27日付けのマッカーサー宛書簡で、1)天皇の身体への暴力は国家に対する破壊行為であること、2)皇位継承に関わる皇族も同様に考えられること、3)英国のような君主制の国においても同様の特別規定があること、を理由に大逆罪の存置を訴えた。しかし民政局法務課長のアルフレッド・オプラーは、吉田の書簡の内容について調査を行い、アメリカ大統領及びイギリス国王には日本の大逆罪に該当するような特別規定は存在しない、と結論づけた。
この調査結果を踏まえ、翌年2月25日、マッカーサーは吉田宛書簡で、吉田のあげた存置理由について一つ一つ反論し、天皇や皇族への法的保護は、国民が受ける保護と同等であり、それ以上の保護を与えることは新憲法の理念に反する、と吉田の訴えを拒絶した。
資料名 |
不敬罪に関する件 |
年月日 |
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資料番号 |
芳賀四郎文書 291 |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
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注記 |
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資料名 |
Letter from Shigeru Yoshida to General MacArthur dated December 27, 1946 |
年月日 |
December 27,1946 |
資料番号 |
西沢哲四郎文書 328 |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
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注記 |
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資料名 |
Memorandum for the Deputy Chief, Government Section. Subject: Legal Protection of the President of the United States and of the King of England against Bodily Harm |
年月日 |
31 December 1946 |
資料番号 |
GHQ/SCAP 法務局文書 GHQ/SCAP Records, Legal Section Box No. 1497 "Lese Majesty" <Sheet No. LS11751> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG331) |
注記 |
マイクロフィッシュ |
資料名 |
Letter from Douglas MacArthur to Prime Minister dated 25 February 1947 |
年月日 |
25 February 1947 |
資料番号 |
マッカーサー記念館所蔵 マッカーサー私信 MacArthur Memorial Archives, RG 10:Private Correspondence (VIP Files) Box No.13 "Ashida,Katayama,Yoshida" <MMA-14, Roll No. 6> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
マッカーサー記念館 |
注記 |
マイクロフィルム |
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