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令和6年度第1回 国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議 議事概要

1.開催日時

令和6年7月1日(月曜)14時30分から16時30分まで

2.開催形式

Web会議システムによるリモート開催

3.構成員

  • (座長)岸田 和明(慶應義塾大学文学部教授)
  • 只野 雅人(一橋大学大学院法学研究科教授)
  • 田辺 国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 呑海 沙織(筑波大学副学長、筑波大学附属学校教育局教育長)

4. 国立国会図書館出席者

山地副館長、木藤総務部長、小澤総務部企画課長

5. 主な会議内容

令和5年度国立国会図書館活動実績評価(案)について国立国会図書館(以下「NDL」という。)から説明を行った後、有識者会議構成員(以下「有識者」という。)による意見交換を行った。意見交換の概要は、以下のとおりである。

事業分野1について

有識者:
まず、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書」について、国会がこのような調査を行いNDLが協力したというのは非常に大きな意義があると思う。一点質問だが、指標1「依頼調査の処理件数」に関連して、評価結果の根拠・説明に、調査報告作成及び面談・会議における説明による回答の割合が前年度より若干増えたとの記載がある。面談・会議における説明以外については文書のやり取りだけで対応しているのか。

NDL:
面談・会議における説明による回答以外のものについては、基本的には文書で回答している。

有識者:
三点質問がある。一点目は先ほども話があった「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書」について、この調査に対するNDLの協力、貢献は非常に重要な活動だったと評価している。このように衆参両院議長に提出する調査報告書にNDLが関与することは多いのか、またそのような役割を担うことがNDLに期待されているのか知りたい。二点目は指標3「国政課題に関する調査研究のアクセス数(一般向け)」について、令和5年度は21%増となっているが、令和4年度に大きく減っている。以前理由を聞いたと思うが、なぜこの年度だけこれほど下がったのか、もう一度説明してほしい。三点目は指標6「国会会議録検索システムのデータへのアクセス数(一般向け)」について、令和2年度からコンスタントに増加しているが、誰がどういう形で利用することが増えてきているのか知りたい。

NDL:
一点目について、経緯を申し上げると、平成31年に成立した同法律第21条で、国は旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとされている。これに基づく調査について、令和2年6月に衆参両院の厚生労働委員長からNDLに対して協力要請があり、その後、令和2年7月に衆議院の厚生労働調査室と参議院厚生労働委員会調査室から、具体的に優生思想の歴史及び諸外国における施策についての調査依頼を受けた。NDLが豊富な文献を有すること、また日頃の依頼調査等を通じて海外動向の調査が比較的高い評価を得ていることで、このような内容の調査依頼を受けたと考えている。

有識者:
今回のように、衆参両院議長に提出する調査報告書にNDLが関与するのはかなり特異な例と考えてよいか。

NDL:
そうである。今回のように、国会で過去の立法について調査をすること自体が議員立法で定められたことは稀に思われ、今後もそのような調査を実施する際に依頼があればNDLでも協力したいが、過去にはあまり例がなかったように感じられる。

有識者:
理解した。

NDL:
二点目の指標3について、令和4年度にアクセス数が大幅に下がった理由だが、NDLとしても詳細は把握できていない。令和5年度第1回有識者会議ではコロナ禍需要の一服の可能性があるという説明を申し上げたが、その後増えているため、その理解でよかったのか、はっきりとは分かっていない。三点目の指標6についても、アクセス数が増加している理由は不明である。他の指標を含めて、アクセス数についてはクローラーのアクセスの制御や区分が十分にできているかという問題があり、指標6についてもクローラーの影響があるかもしれない。

有識者:
事業分野の概要及び目標の2段落目に「国内外の大学や調査研究機関等及び海外の議会関係機関等との連携を強化」とあるが、根拠・説明の中に直接対応付けられている項目があるのかどうか、少し判然としない。先ほど話に出ていた「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書」が連携協力の一つであるようにも思うが、この連携の強化に関して何か取組等があったのか、あるいは特に明示的な取組がなくこのような評価結果に落ち着いているのか。

NDL:
国内外の大学や調査研究機関等との連携については、総合調査や科学技術分野に関する調査プロジェクトを行う際に調査を委託したり、当館で行う調査に御協力いただいたりしている。つまり、根拠・説明には「○○大学と連携した」といった形で明示していないが、各調査プロジェクトを行う中で大学等と連携している。海外の議会関係機関等との連携の強化については、根拠・説明の四点目にある欧州議会調査局等との連携が対応している。

有識者:
国内外の大学や調査研究機関等との連携について、概要及び目標では、総合調査等の実施とは別に記載があるので、総合調査等以外の取組があるのかと誤解したが、いまの説明で理解した。活動実績評価として問題ないと考える。

NDL:
この点は前回も御質問があった。総合調査や科学技術に関する調査プロジェクトについては概要及び目標の第三段落に記載のとおりであるが、他の形でも連携は行っており、例えば大学の先生に客員調査員に来ていただいてアドバイスを頂くなど、様々な形で学術界の御協力を得ている。

事業分野2について

有識者:
指標11「オンライン資料(電子書籍・電子雑誌)」の①「新規収集データ数」について、未達成の理由は作業体制の見直しの影響等であり、具体的には担当係の人数が減ったためとの説明であったが、今後の見通しはどうか。人員が減ったままなので令和5年度の水準が今後も続く見通しなのか、あるいは体制を更に変える予定なのか。

NDL:
有償等オンライン資料の制度収集が始まったこともあり、作業すべき資料が今後増えていくことは目に見えている。当該係の問題として限定せず、オンライン資料の収集及び組織化の作業を館として今後どのように行っていくか模索しているところである。

有識者:
質問が一点、感想が一点ある。質問は、指標12「インターネット資料(ウェブサイト・アーカイブ(WARP))の新規収集データ数」について、あらかじめ定められている目標値からすると達成ではあるが、過去3か年の実績値と比べると減少幅が大きい。収集対象又は収集頻度が減ったためだとすると、ウェブアーカイブとしての機能水準が今後も維持されるのかやや懸念があるが、その点はどうか。感想は、指標19「資料保存対策を行った資料点数」についてである。実績値が大きく増えており、かつフロッピーディスクのマイグレーションがほぼ終わったということで、よくやっていただいた。

NDL:
WARPの新規収集データ数が令和5年度にやや落ちている点について申し上げる。ウェブアーカイブの公開に当たっては、ロボットで収集してきたファイルにウイルスチェックを行い、問題がないことを確認してから公開するというプロセスを踏んでいる。令和5年度はウイルスチェックで一部不備があり、提供を見送った分がある。指標名には「収集」とあるが、実際には提供できているものの件数を採取しており、提供に至る過程で不備があったために実績値としては減少となった。現在は問題が解消しており、今後は数値の上でも持ち直す見込みである。

有識者:
指標11について、インターネット上に流通するオンライン資料は増えているはずなので、点数ではなく、総数に対するパーセンテージのような指標の方が理念的には良いのだろうが、現実的には難しいと思う。指標19に関しては、フロッピーディスクのマイグレーションは長年にわたり資料保存における懸念だったと思う。それがほぼ終わったことは大変めでたく、労を多としたい。

事業分野3について

有識者:
指標22「遠隔複写」の④「インターネット経由申込複写について、受理から発送までに要した日数」について、目標値は既定値で5.0日となっており、コロナ禍の期間に比べると回復はしているものの、まだ目標値は達成できていないという状況である。もし何か構造的な変化があるとすると、5日という目標が適切なのかどうかも検討する必要があるように思うが、そのあたりはどうか。

NDL:
まず、この5.0日という目標値は作業仕様書に基づいて設定している。仕様書どおりに作業が行われればおおむね5日以内に処理できる見込みであることから、このような目標値としている。ただし、複写作業については、通常の請負型の委託ではなく独立採算型の法定委託という形で委託しているために、コロナ禍での来館複写の需要減少への対処として体制を縮小せざるを得なかったという事情がある。コロナ禍が終わり来館者数は回復傾向にあるが、来館者数に比べると来館複写の件数がそれほど回復していない。そのため、縮小した体制を元に戻す、あるいは増強するところまでコストをかけられる状況になく、サービスレベルを達成できるだけの人員投入に至っていないのが現状である。5.0日という目標設定については、すぐに変更することは想定していないが、ビジョンの切り替わりのタイミング等を契機として、体制の改善が可能か、あるいは目標を変更する場合にどこまで日数を伸ばすことが妥当かなどを含めて検討していきたい。

有識者:
遠隔複写はコストがかかる作業であることは承知しており、特に独立採算であり人員を増やせない事情があるということも理解した。目標設定の変更について、長期的に必要があれば御検討いただきたい。

有識者:
個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)の開始は、NDLのサービス史上革命に近いことではないかと思っている。指標27「デジタル化資料送信サービス(個人向け及び図書館向け)」の②「個人向けデジタル化資料送信サービスの利用規約に同意した登録利用者数」等を見ても大きく数値が伸びている。ただ、問題は他のサービスとの関係である。まず、個人送信と図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)の関係について、先ほどの説明では、両者はトレードオフと考えていたが、そうではなくどちらも登録利用者数又は承認館数が増加しているとのことであった。もう一つの軸は、デジタルとリアルの関係である。例えば指標22「遠隔複写」の①「複写の処理件数」、指標23「図書館等への貸出し」の①「貸出点数」を見ると、それなりに維持はされているものの、基本的には低下傾向にある。これはデジタル化の影響なのか、そうではないのか。また、長期的にはNDLとしてどのような見取り図を描いているのか。特にNDLはデジタルシフトのビジョンを掲げており、かつビジョンの中間点も過ぎているので、このあたりの見通しを聞かせてもらえると今後の評価もより適切にできるかと思う。もう一点は感想だが、視覚障害者等へのデータ送信について、事業は順調に進んでおり、かつ非常に良いサービスになっているという印象である。データ送信の形で障害者が資料を利用できるようにすることは非常に重要な取組であり、データ数が増えているのはバリアフリーの観点から喜ばしいことだと思う。

NDL:
個人送信と従来型の複写や貸出しとの関係についてだが、貸出しの方はデジタル化の影響が大きいと考えている。図書館等に貸し出しているのは基本的に図書であり、デジタル化も図書を中心に進めているため、図書のデジタル化が進めば貸出しが減っていくことは、先に図書館送信を始めた時から予想していた。他方、複写については、デジタル化は2000年までに刊行された図書を中心に進めているのに対し、複写はより新しい資料や雑誌に対する需要が大きい。そのため、個人送信が複写にどのような影響を与えているかは明確ではないが、遠隔複写の処理件数の減少には、個人送信の開始以外の要素もあるのではないかと思う。遠隔複写の処理件数はコロナ禍を契機に一時的に申込みが大きく増加したが、それが落ち着いてきたという面もあるかと考えている。複写についてはもう少し長期的に動向を見ていきたい。また、二点目の御感想については仰るとおりである。従来提供してきたデジタル化画像は視覚障害者の方にとっては存在しないも同然であり、全文テキストデータの提供によって初めて読めるようになったということで、特に研究等をされている方から非常に励みになるとのコメントを頂いている。NDLとしても、障害者の方が様々なところでユニバーサルに資料を利用できるよう、テキストデータの提供や読書環境の整備を今後一層進めていきたいと考えている。

有識者:
指標30「イベント」について、①「開催回数(オンライン開催を含む。)」と②「うち、子ども読書活動推進イベントの開催回数」は未達だが、③「総参加者数(オンライン開催を含む。)」は水準維持、特に④「うち、子ども読書活動推進イベントの総参加者数」は増えている。参加者数を増やすために何か工夫したことがあれば教えてほしい。

NDL:
令和4年度と令和5年度の実績値を見ると、①は39回から50回、②は12回から20回という推移であり、開催回数にある程度比例する形で参加者数も増加している。一回ごとの参加者数にならすと、そこまで増えているわけではない。

有識者:
前年度と比べて開催回数、参加者数とも増えている中で未達成という評価が適切なのかとも思うが、目標値と比べて未達成ということで理解した。

有識者:
利用者アンケートというものが度々引用されているが、この実態について簡単でよいので教えてほしい。

NDL:
ウェブ上で回答していただけるアンケートを毎年度行っており、各サービスの満足度等を調査している。令和5年度の調査結果は「令和5年度利用者アンケート結果」のページで公表している。例年5月から10月まで約6か月間実施しており、2千件ほどの回答を頂いている。このアンケートの中で、活動実績評価の指標としている各サービスの満足度や納本制度の認知度も調査している。活動実績評価ではどうしても指標の大半がアウトプットやアクセス数になるが、ユーザーへのリーチについても、このような調査を行うことで測定している。

有識者:
指標21「蔵書等検索サービス」の②「満足度(利用者アンケート)」は92%とのことだが、国立国会図書館オンラインと新国立国会図書館サーチの両方が混ざったパーセンテージという理解でよいか。

NDL:
脚注18のとおり、国立国会図書館オンラインの満足度である。この調査を実施したのは令和5年5月から10月までであり、当時は国立国会図書館オンラインが稼働していたため、国立国会図書館オンラインの満足度を記載している。新国立国会図書館サーチの満足度は含まれない。

有識者:
国立国会図書館オンラインのみの満足度が92%ということで承知した。新しい国立国会図書館サーチに関する評価結果は今後出てくるということかと思う。

有識者:
先ほど提供日数の既定目標値に関するコメントがあったが、既定目標値に達した件数のパーセンテージ等を出した方が分かりやすいのではないか。また、日数は平均なのか。例えば、指標22④では目標値が5.0日で令和5年度の実績値が6.3日だが、これは平均日数ということか。

NDL:
指標22④の場合は脚注19のとおり、処理件数のうち80%以上を提供した日数であり、他の指標も同様である。全体の80%はその日数以内に、つまり6.3日以内に提供したということである。

有識者:
既定目標値が決まっているのであれば、それを満たした件数をパーセンテージで表示すべきではないか。また、国際的には通常は中央値で測定する。中央値が本当に適切かはさておき、80%以上を提供した日数を算出するという方法はあまり一般的ではないので質問した。今後の課題として検討いただければと思う。

事業分野4について

有識者:
海外諸機関との連携は図書館の中ではNDLしかできない部分もある。Zoom等のWeb会議を行うためのツールが出てきたことで、それを活用した海外諸機関との連携は増えたのか。

NDL:
例えば海外の有識者を招いて講演会を行う際に、これまでは来日をお願いしていたが、近年はオンラインで行うことが増えている。国際会議にNDL職員が参加する際も、これまでは現地に赴くことが多かったが、コロナ禍後はオンラインでの参加も増えている。また、そういったオープンなイベントではない事務レベルでの打ち合わせについてもオンラインの活用が進んでおり、メールのみで済ませていた頃と比較して意思疎通が容易になったと感じている。このように、オープン・クローズドのいずれにおいても、オンラインでの国際的な連携が進んだという印象である。

有識者:
コロナ禍は大変厳しいものであったが、反面、そういったツールが普及したのは良いことであり、様々な局面で活用すべきではないかと思っている。NDLでもそうした活用がなされていると理解した。

有識者:
指標36「図書館及び図書館情報学に関する情報提供」について、カレントアウェアネスは図書館及び図書館情報学に関する大変有益なリソースであると思っている。今回は水準維持となっているが、令和2年度などと比べると各指標の実績値が減少している。例えばメールマガジンの登録者数なども令和2年度から比べると減っているのか。

NDL:
メールマガジン「カレントアウェアネス-E」の令和5年度末時点の登録者数は6,874人である。令和2年度末時点で6,574人であったため、300人増えている。

重点事業に係る事業分野①及び②について

有識者:
【重点事業に係る事業分野②】「国のデジタル情報基盤の拡充」について、デジタル化が進んでいることは分かるが、通常の予算で行っている事業なのか、それとも補正予算を大規模に取りにいって行っている事業なのかを聞かせてほしい。デジタル化の事業は確実に行わなければならないものであるので、補正予算に基づいて一挙に進めるだけではなく、恒常的に予算を取ってこの事業に充てることが重要ではないかと思う。そのあたりは評価結果というアウトプットの部分では見ることができないので教えてほしい。

NDL:
コロナ禍を契機として、より多くの情報資源が遠隔サービスによってもアクセスできることが求められるようになったことを背景に、令和2年度以降、補正予算を毎年度付けていただいており、それに基づいてデジタル化が大きく進展した。令和2年度以前は図書のデジタル化は1960年代後半までに刊行された資料までしかできていなかったが、現在は1995年までに刊行されたものまで完了し、2000年までに刊行されたものまで進めているところである。これらの事業は補正予算があったことで大きく進んだと言える。ただ、御指摘のように補正予算が付くかは不確実であるため、当初予算の中でも紙の資料の収集に投じていた予算を一部デジタル化に投じるなど、なるべく多くの資料についてデジタル化が進むように工夫している。

有識者:
【重点事業に係る事業分野①】「ユニバーサルアクセスの実現」について、評価結果で「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」が挙げられている。このような館種を越えたガイドラインの策定は重要な取組だと思う。このガイドラインがどのように活用されているのか教えてほしい。

NDL:
このアクセシビリティ対応ガイドラインは、商用の電子図書館サービスを視覚障害者等の方が使うときに必要なアクセシビリティ要件を整理したものであり、各種図書館に御活用いただく側面と、電子図書館事業者に御活用いただく側面があると考えている。このうち、各種図書館において、かなり認知度が高まってきているという認識である。文部科学省の読書バリアフリーコンソーシアム事業で行った図書館向けのアンケート調査(筑波技術大学ウェブサイトへのリンク)の中に、このガイドラインの活用状況について質問している項目があり、「活用している」が約18%、「知っているが活用していない」が約49%、「知らない」が約34%という結果だった。まだまだ努力が必要ではあるが、3分の2程度のところに周知できたと考えている。加えて、各種図書館が実際に電子図書館を導入する際の調達仕様書の要件に、ガイドライン中のアクセシビリティ要件を満たすこと等と記載していただいているケースも把握しており、このような記載は事業者に改善を促す効果を持つものと期待している。また、電子図書館サービスを提供する事業者とは、実際にガイドラインを活用・適用して各サービスのアクセシビリティを改善していけるかというやり取りを直接行っている。ある事業者の電子図書館サービスでは、このガイドラインに基づきアクセシビリティを改善したとのアナウンスがなされていた。こうした事例からも、一定の認知度があり、活用事例もある程度増えてきていると考えている。

有識者:
状況を共有していただいて、素晴らしい取組であるという認識を改めて持った。

有識者:
同じく「ユニバーサルアクセスの実現」の評価結果の冒頭にあるデジタル化資料の国外送信について、図書館送信の国外図書館向けの複写サービスは令和6年4月からスタートと書かれているので、既に開始しているということかと思う。一方で、国外居住者向けの個人送信の実現については、著作権の関係等の難しい問題があると聞いたと記憶している。現状は調整中との説明だったが、どのような見通しを持っているのか聞かせてほしい。

NDL:
国外居住者向けの個人送信については、評価結果に記載しているとおり外部有識者にヒアリングを行っているところである。インターネットを通じた著作物の送信サービスに係る準拠法の考え方や、絶版等資料の送信のフェアユース該当性等について御意見を伺ったが、現在のところは個人送信を行うことが可能かどうかの結論が出ておらず、サービス開始時期の目処はまだ立っていない。海外の利用者から何度も、ぜひ個人送信を海外でも使えるようにという御要望を頂いているため、課題が解決できるとよいと私どもも思っている。

有識者:
海外の日本研究者のほか、海外に留学する学生が個人送信を使えないかという話もよく耳にするので、国外居住者への個人送信は一定のニーズがあると感じており、実現すると便利であると思う。ただ、実現には依然として難しい問題があると理解した。

有識者:
以上で全ての議論が終わったことになる。イベントの開催回数など、少数ながら未達の指標が見られたが、全体的にほぼ全ての目標が達成されていると言える。ほかにも、遠隔複写の提供日数について既定目標値の見直しといった、今後に向けての重要な提起がなされた。その一方で、フロッピーディスクのマイグレーションや視覚障害者等用データの充実などは評価されたと考えている。今後の動きとして、国外居住者向けの個人送信がどうなるか、今年1月に公開された国立国会図書館サーチがどう評価されるかというようなコメントもあった。以上を総括して、令和5年度国立国会図書館活動実績評価案については了承ということでよろしいか。

(異議なし)

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