第4章 実学としての和算
コラム 測量グッズ(難易度0)
測量では、様々な器具が使われました。時期や流派によって、使われる器具やその名称も異なります。ここでは、展示資料中に見られる器具を中心に、いくつかご紹介します。
比較的短い距離を直接測る場合は、目盛をつけた竿や縄を使います。縄は、湿度による伸び縮みに注意が必要です。
紅毛流の測量で使われる平板(見盤)。定規、コンパスなどを用いて、相似の図形を描き、間接的に測量を行います。
製図に使う定規。これは、分度器とセットになった分度矩(ぶんどのかね)です。
コンパス(渾発)。脚を開いて1箇所の長さを挟み取れば、ほかの箇所と比較ができます。先端の溝に墨をつけると、印をつけたり、円を描くこともできます。
方位は、磁石を使った器具で測りました。十二支で表わし、各十等分して120の目盛りのもの、また、後には西洋と同じ360度の目盛りのものも作られました(三角関数表を利用するのに便利です)。
伊能忠敬も用いた象限儀は、高度を測る器具。西洋では天体観測や航海で緯度を調べるのに使われましたが、日本では測量にも利用しました。
アストロラーベは、古くは古代ギリシアから用いられたもの。八分儀と六分儀は、より精密な測定が可能で、幕末に沿岸地図の作成や砲術といった海防面で用いられました。
アストロラーベ(イスタラヒ)
象限儀(四分儀、クワドラント)
六分儀(セキスタント)
八分儀(オクタント)