国体の科学的研究を提唱していた思想家の里見岸雄は、天皇制廃止論を批判する一方、国体護持論も理論が貧弱であることを指摘して、自説に基づく憲法改正案を発表した。改正案はまず「国体」と「政体」を区別した上で、天皇統治の原則は変えずに、日本的民主主義の性格を付与することを意図したものである。この案では、天皇大権は縮小されているものの、臣民の自由には法律の留保が付くなど明治憲法の思想を色濃く残している。その一方で、帝国議会を東院、西院の二院制とすること、国務総理大臣の候補者は国民投票で選出すること、政党を公認すること、憲法審議院、国体審議会、官公吏監視委員会その他の機関を設置することなど、独自の規定も多く盛り込まれていた。
資料名 | 法學博士 里見岸雄稿 大日本帝國憲法改正案私擬 日本國體學會 |
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年月日 | [1946年1月28日発表] |
資料番号 | 入江俊郎文書 11(「憲法改正参考書類(憲法問題調査委員会資料)」の内) |
所蔵 | 国立国会図書館 |
原所蔵 | |
注記 |