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次に書翰に書かれている内容を見ていこう。
この書翰の本題は?
書翰の日付である5月1日を年表で確認してみると、ロンドン海軍軍縮条約調印(4月22日)から間もない時期であることがわかる。折しも海軍内・議会では、条約調印後に必要となる「批准」(国家として条約を締結する旨の最終的意思表示)をめぐって、激しい攻防が繰り広げられていた。
ロンドン海軍軍縮条約とは?
(海軍)補助艦の制限を目的とした国際条約。昭和5(1930)年4月、浜口雄幸内閣が天皇の統帥権の補佐責任者である海軍軍令部長の反対を押しきって条約調印に踏み切ったことが、天皇の「統帥権」(軍隊の最高指揮権)を「干犯」(権限などを侵害すること)しているとして一大問題となった。
ここで改めて書翰を読み直すと、本題は、「ロンドン海軍軍縮会議から帰国する財部が複雑な立場なので、相談相手となって欲しい」という書翰後半にありそうである。