代数の問題 解答
n進法
A1 |
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整数
合同式
A2 | 5,11,13は互いに素なので中国式剰余定理を使います。 11×13=143の倍数で 5で割ると1 余る最小の数は57×5+1=286、 5×13=65の倍数で11で割ると1余る最小の数は59×11+1=650、 5×11=55の倍数で13で割ると1余る最小の数は38×13+1=495ですので、x≡286a+650b+495c (mod 715) が一般解。 |
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A3 | x≡2(mod 36),x≡14(mod 48)で、36=22×32, 48=24×3 なので、36の約数aと48の約数bで、互いに素となるものはa=32とb=24です。すると、x≡2(mod 36)であるxはx≡2(mod 9)を満たし、一方x≡14(mod 48)であるxはx≡14(mod 16)を満たし、(9,16)=1。中国式剰余定理からx≡2(mod 9),x≡14(mod 16)の解は x≡p(mod 9x16)の形をしており、pは16の倍数で、9で割ると 2余る数である128と、9の倍数で、16で割ると 14余る数である270の和=128+270=398から9×16=144を順に引いてゆくと254,110となり、解はx≡110(mod 144)。 |
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冪和
A4 |
となることは簡単にわかります。は少し難しいので、きちんと計算しておきましょう。がわかればはとして計算できます。そして、はn3+3n2+3n=(n+1)3-1と(n+1)3-n3=3n2+3n+1を使って以下のように計算します。 n3+3n2+3n=(n+1)3-1={(n+1)3-n3}+{n3-(n-1)3}+…+{33-23}+{23-13} したがって、 となります。
となります。 |
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A5 |
となることを数学的帰納法で証明します。n=1の時、、ですので、等式は成り立っています。n=mの時、であるとすると、 。したがって、n=m+1の時も成り立つので、あらゆるnについて成立します。
こうした関係式はすでに14世紀中国の数学書である朱世傑の『四元玉鑑』で取り扱われています。
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A6 | Q5 で確認したという公式がありますので、のnp+1の係数はです。従って、k(k+1)(k+2)…(k+p-1) のnp+1の係数はとなり、kp のnp+1の係数もです。そこでと書けるとすると、ですので、nを無限に大きくした極限ではとなります。 は と書き改めると、これは図のようにnを無限に大きくした極限はy=xpという関数を区間[0,1]で積分した値のことです。 この問題はという定積分と同じで、和算家たちは、円の面積を出すのに、という事実を使いました。これを使って安島直円(1732-1798)が導いたという級数は、西洋数学での と同じものです。 |
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組立除法
A7 |
解をpの冪級数で表すため、組立除法を使って、1次の係数から順番に高次の係数を求めていきます。方程式の定数項を小さくしていくことが目的ですので、まず定数項pが消えるようにp/2を最初の近似とすると、以下の組立除法となります。 これで、元の方程式を(x-p/2)2+(-2+p)(x-p/2)+p2/4=0 に変換したことになります。次にp2/4が消えるようにp2/8を2番目の近似とすると、以下の組立除法となります。 次にp3/8が消えるように、p3/16を3番目の近似とすると以下のようになります。 次に5p4/64が消えるように、5p4/128を4番目の近似とすると以下のようになります。 すると次の項は7p5/128を2で割った7p5/256であることがわかり、ここまでで、x=p/2+p2/8+p3/16+5p4/128+7p5/256+…という解の近似値を求めたことになります。 |
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有理数近似
A8 | 右辺の xを1+と書き換えると と無限に続く式ができます。これは という形の無限に続く分数がx=1+の解となることを意味しています。x=1+はx2-x-1=0と同じで、この解はですので、 、すなわち となります。 このように の形の分数を連分数と呼びます。は連分数を順に計算すると、 のように少しずつ正確な値へと近づいてゆきます。この分子と分母の数は、「次の分母=前の分子」、「次の分子=前の分母+前の分子」という関係があり、以下、という風に続いてゆきます。の前に、,があると考えたとき、分子を並べた数列1,2,3,5,8,13,21,34,55,…はフィボナッチ数列と呼ばれます。また、は黄金数と呼ばれ、1.6180339…と続く無理数です。フィボナッチ数列の隣り合う数字の比は黄金数に収束します。 |
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