大木操
昭和20(1945)年8月10日
無条件降伏に反対の阿南陸相 第二次世界大戦
阿南陸相は、大東亜戦は国力全体の戦ひであるから、国家の決心に従ふのみ。但し軍は無条件降伏には承服し難し。武装解除したる後がこわい。何をされるか判らぬ。勿論現在の状勢に加ふるに、ソ連を更に敵に廻はし、原子爆弾を相手とするのでは、算盤[そろばん]上勝てぬことは明白。但し、英米に対して最後の一戦を試み、大打撃を与へることは充分の確信あり。
鈴木貫太郎内閣で陸軍大臣に就任した阿南惟幾(あなみこれちか)は、最後まで陸軍のトップとして強硬論を主張しました。勝てぬまでも、一撃を与えることは可能であること、不安なので武装解除には応じないだろうと述べています。終戦の日、阿南は自決しました。