1878年第3回パリ万博
科学と芸術の国、フランス
【コラム】自由の女神
現在はアメリカの自由のシンボルとなっている「自由の女神」。この像は、1876年のアメリカ独立100周年記念を祝うため、フランス人彫刻家バルトルディ(F. A. Bartholdi)が制作し、1886年にフランスからアメリカへ寄贈されたものである。また、自由の女神の内部構造を担当したのは、1889年第4回パリ万博の主要建築であるエッフェル塔の建設で有名な、エッフェル(A. G. Eiffel)であった。
そのような自由の女神であるが、実は製作途中に2回ほど「展示品」として万博に出展されていたことをご存知だろうか。フランス側が彫像、アメリカ側が台座を造る予定であったが双方とも資金不足であり、資金集めの一環として出展されることになったのである。
1876年のフィラデルフィア万博では、自由の女神の腕と手と松明部分が展示され、入場料を払うと松明の炎の下に設けられた展望台に登ることができた。また、1878年のパリ万博では、シャン・ド・マルスに自由の女神の頭部が建設され、人気を博した。
こうして資金集めに成功した自由の女神像は1884年にフランスで完成し、1885年には350のパーツに分けられアメリカへ船で運搬された。そして翌年4月末に台座が完成すると、4ヶ月かけて台座の上に組み立てられた。アメリカ独立100周年に寄贈することは間に合わなかったが、当初の予定の10年後1886年10月28日に、ニューヨークのリバティ島で女神像の除幕式が行われたのである。
また、この自由の女神へのお礼として、アメリカ人からフランス革命100周年に贈られた4 分の1の大きさの自由の女神は、大西洋をはさんでニューヨークの像と向かい合うように、パリのグルネル橋近くに現在も立っている。
- 参考文献:
久島伸昭 『「万博」発明発見50の物語』 講談社 2004 <D7-H45>
橋爪紳也監修 『万国びっくり博覧会 : 万博を100倍楽しむ本』 大和書房 2005 <D7-H48>
L'Exposition universelle de 1878 (C. Levy, 1879) <YP51-A227>