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第33回納本制度審議会議事録

日時:
令和2年12月11日(金)13時~14時15分
場所:
Web会議システムによるリモート開催
出席者:
斎藤誠会長、福井健策会長代理、植村八潮委員、江上節子委員、江草貞治委員、遠藤薫委員、奥邨弘司委員、小野寺優委員、重村博文委員、柴野京子委員、永江朗委員、根本彰委員、堀内丸惠委員、佐々木隆一専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 委員委嘱の報告
  2. 国立国会図書館長挨拶
  3. 事務局からの報告(令和元年度資料収集状況、令和元年度出版物納入状況、令和2年度代償金予算及び令和元年度代償金支出実績)
  4. 代償金部会の審議経過報告
  5. オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過報告
  6. 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  7. 有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理について
  8. その他
配布資料:
  • (資料1) 所属委員・専門委員名簿
  • (資料2) 国立国会図書館の資料収集状況(令和元年度末時点)
  • (資料3) 資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料4) 納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料5) 第16回代償金部会における審議の概要について
  • (資料6) 令和元年度第1回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料7) 令和2年度第1回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料8) 令和2年度第2回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料9) 令和2年度第3回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料10)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  • (資料11)有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理について
  • (参考資料1)第32回納本制度審議会議事録
  • (参考資料2)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (参考資料3)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料4)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (参考資料5)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料6)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (参考資料7)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
会長:
それでは、定刻となりましたので、第33回納本制度審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様におかれましてはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は15名の委員中、現在、12名の方々に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。また、本日は、専門委員の皆様にも御出席いただいております。
それでは初めに、事務局から、配付資料の説明をお願いします。
事務局:
〔配布資料について説明〕
また、議事の進行に関し1点お願いがございます。御発言の際は、ミュート解除をしてからお話しいただき、御発言が終わりましたら、その都度、ミュートにしていただくようにお願い申し上げます。また、議事録作成のため、会議を録画させていただいております。どうぞ御了承ください。事務局からは以上です。
〔委員1名出席〕
(会次第1)委員委嘱の報告
会長:
それでは早速、会次第1に入ります。委員の委嘱について、事務局から報告があります。
収集書誌部長:
事務局から御報告いたします。資料1、通しページ1を御覧ください。今般、委員の交代がございましたので、新規に委嘱された方を御紹介いたします。
まず、一般社団法人日本書籍出版協会理事長の交代に伴い、相賀昌宏委員の委嘱を解き、小野寺優委員に委嘱しました。代償金部会への所属もお願いしております。また、一般社団法人日本出版取次協会会長の交代に伴い、近藤敏貴委員の委嘱を解き、平林彰委員に委嘱しました。そして、一般社団法人日本雑誌協会理事長の交代に伴い、鹿谷史明委員の委嘱を解き、堀内丸惠委員に委嘱しました。代償金部会への所属もお願いしております。
いずれも、令和2年7月29日付で、前任委員の補欠として委嘱させていただいたもので、納本制度審議会規程第4条第2項ただし書の規定により、委嘱の期間は発令日から令和3年6月30日までとなります。
御報告は以上です。
会長:
ありがとうございました。ただ今御紹介がありましたように、新たな委員をお迎えいたしました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
(会次第2 )国立国会図書館長の挨拶
会長:
それでは、会次第2に移ります。国立国会図書館長から御挨拶をいただく予定でしたが、本日、急きょ御欠席とのことでございます。田中副館長が、吉永館長の御挨拶について代読をなさるということです。よろしくお願いいたします。
副館長:
副館長の田中でございます。本日、館長の吉永が欠席させていただくことになり、大変申し訳ございません。挨拶文を預かっておりますので、代読させていただきます。
本日は、御多用中のところ国立国会図書館納本制度審議会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
私は、本年4月1日付けで、第17代国立国会図書館長を拝命いたしました。また、昨年12月24日付けで、田中久徳が副館長に就任いたしました。両名とも、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、館長就任以来はじめての納本制度審議会となりますので、一言、御挨拶させていただきます。
法律に基づく納本制度等による資料の収集は、国立国会図書館のあらゆる活動の基盤であり、わが国の文化的資産を蓄積し、国政審議に資するとともに広く国民の皆様に図書館サービスを提供するという当館の使命を果たすために、必要不可欠なものであります。
この納本制度等の改善及び適正な運用のため、納本制度審議会の委員、専門委員の皆様方には、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
特に、直近の課題である有償又は技術的な制限がある状態で配信されているオンライン資料の収集の在り方につきましては、納本制度審議会において継続して御審議をいただいているところであり、また、出版界・著作権者等の関係者の御理解と御協力のもと、収集と館内利用に関する実証実験を行ったところでございます。
国立国会図書館としましては、有償等オンライン資料の制度収集の施行に向けて一層努めて参りたいと考えておりますので、当審議会におかれましても、引き続きの御審議をお願い申し上げます。
今般、新型コロナウイルス感染症という思いもよらぬ奇禍に見舞われまして、当館においても、一時的に臨時休館を余儀なくされ、現在も抽選予約制による入館制限を行わざるを得ない状況が続いております。図書館としての存在意義が問われる中で、特にデジタル資料への社会的ニーズの高まりと、デジタル時代の新たな図書館サービスの担い手として期待される役割の大きさを実感しているところでございます。
斎藤会長をはじめ、委員及び専門委員の皆様方には、御経験と御知見に基づく多様な御意見を交換していただき、納本制度等の一層の充実、円滑な運用に向けて引き続き御審議をいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
以上、代読させていただきました。
会長:
どうもありがとうございました。ここで、他の御公務もありますので、田中副館長は退席されるとのことです。
副館長:
ではこれで、失礼いたします。よろしくお願い申し上げます。
〔副館長退席〕
(会次第3) 事務局からの報告
会長:
続いて、会次第3に入ります。事務局からの報告です。まずは資料の収集状況等について、よろしくお願いします。
収集書誌部長:
〔令和元年度資料収集状況について、資料2に基づき説明〕
事務局:
〔令和元年度出版物納入状況、令和2年度代償金予算及び令和元年度代償金支出実績について、資料3、4に基づき説明〕
会長:
ただ今の事務局からの報告につきまして、何か御質問や御意見はございますか。それから、先ほど発言の手順について、まずはビデオをオンにしていただいて、そのうえでミュートを解除していただくようにと事務局から説明がありましたが、一点補足しますと、その際リアルに挙手をお願いします。チャット機能やWebexの挙手機能ではなくて、リアルに挙手していただきましたら、私の方で、順次指名させていただきますので、よろしくお願いします。それでは、今の報告につきまして、何かございますか。よろしいですか。そうしましたら、続きまして会次第4に進みます。
(会次第4)代償金部会の審議経過報告
会長:
代償金部会の審議経過について、部会長から報告があります。奥邨部会長、よろしくお願いします。
委員:
それでは私から、昨年8月5日、前回の納本制度審議会の後に開催されました第16回代償金部会の議決について御報告をさせていただきます。資料5、通しページ5になります。まず、私が委員の互選によりまして代償金部会の部会長に選出されました。続きまして、江上委員を部会長代理に指名させていただきました。私からの御報告は以上になります。
会長:
ありがとうございました。今の御報告につきまして、何か御質問や御意見はありますか。よろしいですか。それでは、次に進ませていただきます。
(会次第5 )オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過報告
会長:
会次第5、オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過について、まず小委員長から報告があります。福井小委員長、よろしくお願いします。
委員:
それでは御報告いたします。前回の審議会以降、計4回の小委員会を開催いたしました。最初に、昨年の12月20日、令和元年度第1回のオンライン小委員会について、資料の6、通しページ6を御覧ください。まず、有償等オンライン資料制度収集に向けた課題について、事務局から説明をいただきました。続いて、電子書籍の制作・流通と長期保存の状況について調査するために、電子取次事業者の方からのヒアリングを行いました。概要については、事務局から説明をお願いいたします。
事務局:
概要について御説明いたします。
令和元年12月20日の14時から16時まで、株式会社メディアドゥホールディングス及び株式会社モバイルブック・ジェーピーの2社の方に対してヒアリングを実施いたしました。ヒアリング項目は、電子書籍の一般的な制作・流通フロー、電子取次の機能、電子書籍データの保管状況、電子書籍の特殊な制作・流通フロー等についてであり、これらについて報告者からの報告と委員からの質疑応答を行いました。主な発言内容について抜粋して御紹介いたします。
  • 電子書籍の一般的な制作・流通フローという観点では、版元から電子取次に渡される電子書籍ファイルにはDRMが付与されておらず、電子取次において、電子書店毎に必要なDRMや書誌情報を付与した上で納品している。
  • 電子書籍データの保管状況という観点では、電子取次においては、オリジナルデータは当然のこととして、DRMを付与した商品データ、各種バックアップデータ等、複数バージョンのファイルを保管しており、購入済エンドユーザの再ダウンロードに応える必要があるため保管しているファイルの削除は行っていない。
ヒアリングの概要は、以上です。
委員:
続きまして、8月7日に開催した令和2年度第1回オンライン小委員会について、資料7、通しページの9を御覧ください。1月末をもって終了しました電子書籍・電子雑誌実証実験事業の総括について、事務局から説明があり、関連する質疑応答が行われました。詳細については、この後、会次第6として取り扱われるとのことですので、ここでは割愛させていただきます。
続いて、9月9日に開催した令和2年度第2回のオンライン小委員会について、資料8、通しページ11を御覧ください。オンライン資料の収集制度においては、「長期間にわたり継続して公衆に利用可能とすることを目的としているものであって、かつ、特段の事情なく消去されないと認められるもの」に該当する場合、収集対象から除外されるわけですが、これに該当する可能性がある民間リポジトリの構築に向けて準備中である事業者の方から、リポジトリ運営の想定についてヒアリングを行いました。概要については、事務局から説明をお願いします。
事務局:
では、概要について御説明いたします。
令和2年9月9日の10時から11時45分まで、一般社団法人日本電子書籍出版社協会(電書協)の方に対してヒアリングを実施いたしました。ヒアリング項目は、リポジトリ構想の概要、収録コンテンツの概要、運営体制に関して、公衆への利用提供、コンテンツの保存、運営の安定性などについてであり、これらについて報告者からの報告と委員からの質疑応答を行いました。主な発言内容について抜粋して御紹介いたします。
  • 電書協は、出版業界団体自らが責任をもって電子書籍データを保存しオンライン資料収集制度に対応するため、また、多様な出版文化の維持継続するため、令和3年3月から、リポジトリの運用を開始する予定であり、運用開始当初は10万点以上をミラーサイトで保管する想定である。
  • 公衆に対する提供は「電子文庫パブリ」により行われる。
  • コンテンツの保存については、電子書籍の場合、基本的に絶版という状況にはならず、何らかの理由で配信停止になったコンテンツも削除せずに保管することとなるが、その場合は公衆が利用可能とは言えないため、リポジトリから当館へ移管するか、他の受け皿を探すことを原則とする。
  • 電書協は大手版元で構成されており、リポジトリの運営に当たっては業界団体等と協力関係にあるため安定した運営が見込まれるが、万が一リポジトリの運営を停止する場合には、DRMを解除したうえで当館や他のリポジトリへコンテンツを移管する仕組みを設ける。
ヒアリングの概要は、以上です。
委員:
ありがとうございました。続きまして、11月16日に開催した令和2年度第3回オンライン小委員会について、資料9、通しページ13を御覧ください。これまでの審議会の先行答申や、御紹介いたしました小委員会でのヒアリング結果、そして実証実験の結果等を踏まえまして、有償等のオンライン資料の制度収集に向けた課題整理の方向性について、事務局から説明があり、関連する質疑応答が行われました。詳細については、この後、会次第7として取り扱われるとのことですので、ここでは割愛させていただきます。小委員会からの御報告は以上です。
会長:
ありがとうございました。ただ今の福井小委員長からの報告につきまして、詳細は会次第6、7で取り扱われるわけですけれども、この段階で、何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に進ませていただきます。
(会次第6) 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
会長:
会次第6、電子書籍・電子雑誌実証実験事業についてです。先ほど、福井小委員長から御報告がありましたように、令和2年度第1回のオンライン小委員会で議題になりました。まずは、事務局からの御説明をお願いします。
事務局:
〔電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について、資料10に基づき説明〕
なお、この御報告に関する小委員会での御議論を御紹介させていただきます。資料7を御覧ください。本件を小委員会で御報告させていただいた際の主な発言内容について記載してあります。抜粋して御紹介いたします。
  • 現行法下で認められている利用による出版ビジネスへの影響と、今後発生する可能性がある利用拡大への懸念とは、区別して論じるべきではないか。
  • 昨今のコロナ禍により、フェーズが大きく変わったのではないか。民業圧迫という観点だけでなく、社会的なニーズに応えていくという観点も必要だろう。
  • NDLが電子書籍を収集すると、国民からより広く利用に供すべきという要望が出ることが予想される。出版社には、そのような利用拡大に対する懸念があり、それを解いていくことが必要。
  • 民間リポジトリについては、運営主体の倒産や運営費用過多により継続できなくなる可能性もあり、サービスの永続性が保証されていない。リポジトリの運営終了時や電子書籍の販売停止の場合のコンテンツの取扱いについて担保を考える必要がある。
御説明は以上です。
会長:
ありがとうございました。続きまして福井小委員長から総括をお願いします。
委員:
福井でございます。まずは、5年にもわたりました実証実験事業につきまして、ここまで広範な議論を尽くしていただきましたことについて、職員の皆様、電書協の皆様、そして有識者、委員の皆様に心から御礼申し上げたいと思います。本当に御苦労様でした。例えば、権利処理の相当な苦労と一言で仰っている中にも、大変な苦労が詰まっていたことは想像に難くないところであります。またこの中で示された諸課題、特に合意文書や、当事者の納得のいく利用ルール作りの重要性、あるいはリポジトリの永続性の担保等、今後についても大きな示唆をいただいたものと思います。この実証実験の結果は、この後、会次第7で取り扱う有償等オンライン資料制度収集に向けた課題整理の方向性に反映されております。
会長:
どうもありがとうございました。それでは、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について、何か御質問や御意見はありましたらよろしくお願いいたします。この段階ではよろしいでしょうか。そうしましたら、会次第7に進みます。
(会次第7 )有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理について
会長:
有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理についてです。こちらも先ほど、福井小委員長から御報告がありましたように、令和2年度第3回のオンライン小委員会で議題になりました。まずは、事務局から説明をお願いします。
事務局:
〔有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理について、資料11に基づき説明〕
なお、本件を小委員会において御説明させていただいた際の主な発言内容については資料9、通しページ13を御覧ください。特に民間リポジトリについて多数の御指摘、御意見を頂戴したところではありますが、ごくごく簡単にまとめますと次のとおりとなります。
  • 営利企業で構成される組織が運営主体であるリポジトリを「長期間にわたり継続して公衆に利用可能とすることを目的とし」「特段の事情なく消去されないと認められるもの」に該当するため収集除外と認めるには、悪意のある「収集逃れ」を防ぐためにも、該当性の判断基準を具体的に検討する必要がある。
  • 収集除外リポジトリへの該当性の判断基準は、オンライン小委員会における議論の結果として、小委員会報告書、審議会答申の原案に盛り込むべきである。
  • 運営主体が株式会社であり単独で自社コンテンツのみを収録しているような場合や、日本法人を有するグローバル企業である場合も収集除外リポジトリとして認定し得るかは、引き続き検討が必要である。
  • デジタル時代の図書館サービスの在り方は、来館困難者の利用機会確保等の重要な視点を含むが、市場で流通している資料の提供等は将来的な課題である。
  • オンライン資料本体への補償がない点については、代償金が支払われる納本制度との対比で、発行者から素朴な反発があるかもしれず、NDLには丁寧な説明を求めたい。
なお、先ほど説明いたしました資料11につきましては、このような小委員会での御議論を踏まえ、当初案を加筆修正し、委員の皆様に御確認いただいたうえで本審議会に提出させていただいたものであります。
御説明は以上となります。
会長:
ありがとうございました。続けまして、福井小委員長から総括をお願いします。
委員:
福井でございます。この度の課題の整理案に関しましては、御覧いただいたとおり、収集の方法、あるいは永続性や利用可能性の条件に関連して、リポジトリとして認める際の基準や協定書の考え方、また今後の利用のルールの在り方、特に権利者からの許諾を含むというようなことも記載されています。そして補償、特に収集のインセンティブの在り方、この中にはデータバックアップ機能を国会図書館が果たしていくというような特筆すべき事項も含まれています。こうした多くの視点を提供いただきました上で、小委員会でも本当に真剣な議論が委員の間で交わされたところであります。小委員会において検討した課題整理の方向性について、本日の審議会でも御議論いただきまして、引き続き、小委員会としての報告書のとりまとめを行いたいと考えております。以上です。
会長:
ありがとうございました。それでは、有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理につきまして、御質問や御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
委員:
大変広範な御議論をいただいて、明確になっていると思いますけれども、特に収集に際しての、政策的補償その他のインセンティブというところが大変興味深く拝見させていただきました。やはり、この部分がある程度魅力的なものになっていないと、積極的な収集というのは難しいかと思います。ちょっと本論からずれてしまうかもしれませんけれども、このデータバックアップ機能というところで、提供者自らの求めに応じて提供する仕組みが考えられるとありますが、著作権者との関係で何か整理が必要かと思います。例えば出版社と著作権者が必ずしも友好的とは限らないケースもありまして、出版社の意向に沿わないで著作権者の方からデータをダウンロードして使ってしまうとか、逆のケースもあるかもしれません。出版社と著作権者との関係はどのように考えるとよろしいのでしょうか。
会長:
今の点、参照箇所を確認しておきますと、資料11の通しページ91ページですね。4.3あたりですが、御指摘は、2つ目の点、この場合の出版社だけでなくて、著作権者が考えられるのではないか、その両者の関係について、両者に対してどう提供していくのか、という御指摘であったと思います。この点について、いかがでしょうか。福井小委員長、あるいは小委員会のメンバーの方。
委員:
まずは事務局の方で、この間、出版社の皆様等と話し合われた、また内部的に議論された内容があれば、その御説明をいただくのがよろしいと考えますがいかがでしょうか。
会長:
ではまずは事務局から、調査結果や意見等をお願いいたします。
事務局:
事務局からお答えいたします。まずこのデータバックアップ機能といいますのは、先ほど御説明したとおり、まだ実現していないものでございます。今後こういうことができたらよいだろうという、実際に出版社の方から御提案いただいた内容となります。我々としましても前向きに捉えて、実現に向けて努力していきたいという意味で書かせていただきました。ですので、実際まだどういうふうに運用していくのか全然決まっていないところですけれども、一つの考え方としては、実際に紙の本で行っている全文複写というサービスがございます。その際には、著作権者の許諾書を持ってきていただいて、出版社や、全文複写の場合には出版社に限らず利用者の方が著作権者の許諾を得れば、著作権法の規定を超えて全部を複写できる、許諾に基づく複製という位置付けで行っているものがありますので、それが参考になるかと思います。出版物の複製に当たりますので、権利者の方の許可を得ないといけないと思いますので、出版社の方であっても、自由にデータを出し入れするというのは難しいかなと現時点では考えているところです。
収集書誌部長:
補足させていただいてもよろしいでしょうか。
会長:
はい、どうぞ。お願いします。
収集書誌部長:
もう一つ、出版社との関係では、復刻・翻刻という事例が多いかと思っております。せっかく作って世に出していただいた本を、第三者が許諾を得て使用する場合に、使用料を徴収しているのは事実なので、再利用に関する環境の整備も今回のターゲットに置きながら、ぜひとも国会図書館に電子データを預けていただいて、インセンティブという意味では、出版社、作られた方に使い勝手の良い再使用の環境を整えていきたいというところです。制度的にはまだ詰めきれていないことでもありますが、構想としてはその方向で出版社にインセンティブ的な還元をしていきたいと考えているところでございます。補足させていただきました。
委員:
福井です。
会長:
はい、福井小委員長お願いします。
委員:
今の御意見に賛成でありまして、少し考えてみても著作権法の制限規定で、著作権者の許諾なく全文データを渡せる根拠がないのではないかと思ったのですね。いずれにしても積極的協力をいただく意味で、ここは権利者の同意に基づく出版社の御要望でコピーの提供を行うというのがやはりスムーズであろうなあと思ったところでした。以上です。
会長:
今の点について、よろしいですか。
委員:
はい、いろいろな可能性、特に孤児作品に基づいた復刻等、新しいサービスの可能性が眠っていると思いますので、今後よい制度設計をしていただければと思います。ありがとうございました。
会長:
どうもありがとうございました。今の点に関連してでも、あるいは新しい論点でも結構ですけれども、御質問、御意見を引き続きお願いいたします。いかがでしょうか。
そうしますと、恐縮ですが私の方から一点だけ、質問というよりコメントです。ページでいいますと、90ページから91ページにかけての部分、「4補償」についてのところです。ここでは補償について従来の書籍の補償と対比しつつ、分析をまずしていただいて、さらにそこから、先ほど御意見のやりとりのありました政策的補償というところに進んでおられます。補償の要否というものは、事業の性質、時代の変化によっていろいろ考えなければならないので、このように事柄の性質に即して分析し、一定の方向性を示されているというのは、意義のあることだと考えます。その上で、この制度がどんどん使われて、アクターが乗っていただけるような政策的なインセンティブを、補償ということだけではなく多角的に考えようということも、非常に重要だと考えます。古典的な補償だけ考えて、補償が必要か否かと二つに切り分けられるかといいますと、現在の様々な事業形態からするとなかなか難しいわけで、政策的なインセンティブも含めて全体として合理的な制度になっているかが法的な評価という点で重要になってくると考えますので、この方向性で議論をさらに詰めていっていただければと思う次第です。少し長くなりましたが、コメントを述べさせていただきました。これから、この資料11の課題の整理に基づいてさらに小委員会で御議論いただき、それを再度この審議会で審議し、答申に取りまとめていくと、こういう方向になるわけですけれども、何かございましたら御遠慮なく。よろしいでしょうか。
収集書誌部長:
会長よろしいでしょうか。
会長:
はい、お願いします。
収集書誌部長:
会長からお言葉もいただいたので、政策的補償その他のインセンティブとひとくくりで話しますが、出版される方にできるだけ協力してもらえることは国立国会図書館としても大事なことだと思っております。ここに3点書きましたが、他の手段、利用についてできるだけ対価をお支払いするということをさらに強化していく方向として、利用権契約の充実を考えております。幅広いコンテンツについて国立国会図書館で利用できる環境作りが当然重要になりますので、利用権契約という形で、コンテンツ作成側に経済的な還元をしていける部分があるのではと、これは国立国会図書館側も誠意をもって予算の執行を図るということで考えていることの一つです。補足させていただきました。
会長:
どうもありがとうございます。福井小委員長お願いします。
委員:
今会長から、また山地部長から言っていただいたことに議論の大きなポイントがあるような気がいたします。私自身「補償」に関する小委員長を務めて参りましたけれども、その間の議論が単に金銭的な補償だけではない、本当の意味でのインセンティブとは何なのかというところに集約してきたことに、この長期にわたった議論の一つの意味もあったのかなという気がするところです。単に形式的な金銭補償を付けますと、わずかな利用の場合にごく少額になってしまい、振り込み手数料の方が高いといういわゆるマイクロペイメントの問題にぶつかってしまいます。それに比べて、今回の4.3に記載されている証明機能、それからバックアップ機能、そして検索と有償販売への誘導機能は、いってみれば極めて現代的な、収集機関としての国会図書館の果たせる役割の方向性すら示したものであって、これは出版社の皆様のお知恵、提案から出てきたところも大きいと思いますけれども、ここを大いに進化させていくこと、そして山地部長もおっしゃっていた個別の利用契約に基づく対価とそれとを組み合わせていくこと、そこに今後の道筋はあるのではないかと考えました。以上となります。
会長:
どうもありがとうございました。他にこの会次第7全体につきまして、御質問や御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。それでは、報告された方向性に沿って、オンライン小委員会において、有償等オンライン資料の制度収集に関する報告書の取りまとめを行ってもらうことにいたします。報告書は、審議会としての最終答申の原案となる形で、取りまとめをお願いいたします。小委員会の皆様におかれましては、引き続きよろしくお願いいたします。
委員:
承知いたしました。
(会次第8)今後の日程
会長:
それでは会次第8、今後の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。
収集書誌部長:
今後の日程について御説明いたします。
本日、有償等オンライン資料の制度収集に向けた課題整理の方向性について、納本制度審議会においても御了承いただき、引き続き、小委員会において、最終答申の原案となる報告書を取りまとめるよう御指示があったところで、努力してまいりたいと考えております。スケジュールでございますが、今年度第4四半期にオンライン小委員会を開催し、報告書の取りまとめに向けた審議を行っていただけるよう、福井小委員長の御指示のもとで事務局として必要な準備をしてまいります。審議会の答申は、その後ということになりますが、詳細については、改めて斎藤会長、福井小委員長と御相談させていただきたいと考えております。以上です。
会長:
今後の日程等の今の説明について、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。予定されている議題や報告は以上で終了いたしましたが、この際何か御意見、御質問等はございますか。よろしいですか。事務局からは何かありますか。よろしいですか。それでは、以上をもちまして、第33回納本制度審議会の会次第は全て終了いたしました。本日はこれにて散会といたします。なかなかコロナの状況は落ち着きませんけれども、皆様、引き続き御健勝のほどをお祈りいたします。どうもありがとうございました。
(14時15分終了)

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